今回は小説「ペンギン・ハイウェイ」の感想を書いていこうと思います。
・森見登美彦氏による作品で、2010年5月に発売されています。
・第31回日本SF大賞受賞作
・2018年にアニメ映画化
映画の公式サイトはこちら
角川文庫公式ページで冒頭文立ち読み可能!
森見登美彦『ペンギン・ハイウェイ』テレビCM
©KADOKAWA CORPORATION 2018
ネタバレご注意!
本記事では内容に触れております。まだ未読の方はご注意ください!
早速ですが、感想を書いていきたいと思います!
ペンギン・ハイウェイを知るきっかけ
この作品の存在を知るきっかけは、ペンギン・ハイウェイの映画化がきっかけでした。もともとアニメ映画が好きなので、しょっちゅう「2018 アニメ 映画」とかでググってるんですが、
ペンギン・ハイウェイに関してはちょっとだけ違いました。
それはペンギン・ハイウェイの制作を手掛けている「スタジオコロリド」の存在があったからでした。
以前youtubeでインディーアニメを探していると、とんでもなく素敵な作品に出合ったので、何となく記憶の片隅にあったタイトルがあるのです。
その名は「rain town」現在はスタジオコロリドの制作をされているスタッフが大学在学中に公開した短編アニメーションです。
その方たちがアニメーション制作会社を立ち上げてたなんて全然知らなかったので、感激して関連作品を探しまくってたらなんと今年公開の映画を担当しているじゃないですか。
もう観るしかないですよね。でもまだ公開先ですよね。そうなったら小説読みたくなっちゃいますよね!というのがこの作品に出合った経緯です。笑
スタジオコロリド公式ウェブサイト
ちなみに作品はこちら。超絶おすすめ。
rain town
どうでした?最高じゃないですか?
…と、そろそろこのへんで本題の小説の感想に入っていこうと思います。
まず最初に感じた事
アオヤマ君がかわいい。
うん。(笑)アラサーの独身男が言うといろんな解釈が出来ちゃって危険なのですがそういう方面の意味ではなく純粋にアオヤマ君がすごく良いキャラなんです。
森見氏のほかの作品を読んだことがなかったので、普段の森見氏がどんな人物の書き方をするのかは比較できなかったのですが、アオヤマ君の思考やモノの見方が非常に等身大の小学四年生なんですよね。
作品冒頭であるように「ぼくはたいへん頭が良く、しかも努力をおこたらずに勉強するのである。だから、将来はきっとえらい人間になるだろう。」
と言ってるくらいですから、アオヤマ君はたいへん賢いのです。また、普段からいろんなことに興味を持ち、ノートにメモをし、不思議に感じたことを研究しています。
それから、個人の偏見みたいなとこがありますが、普通、小説を書く人は成人しているのが一般的なので、小学生の主人公なら当然「大人が書いた子供の登場人物」になりますよね。
もちろんアオヤマ君だってもれなくそうであることに違いはないんですが、子供の時に感じたワクワクとかドキドキを余すことなくしっかり持っていて童心に帰った気分で僕もワクワクさせてもらいました。
また、これはもしかしたら森見氏以外のほかの作品とかもそうなのかもしれませんが、
文章の演出が凝ってて、すごく小学生らしいと感じる要因の一つでもあるわけです。
例えば、先ほどのアオヤマ君の文章。
「ぼくはたいへん頭が良く、しかも努力をおこたらずに勉強するのである。だから、将来はきっとえらい人間になるだろう。」
わかりますか?怠る。偉い。これがひらがななのはアオヤマ君がまだ習っていない漢字であることがうかがえます。
なぜなら、その2つの漢字を習うのは中学になってからなんですよ。普通漢字を使うようなところがひらがなになっている。というそんな些細なところから、小学四年生が書いた文章であることを意識させてくれるんです。
お姉さんについて
歯を磨くのが苦手なアオヤマ君が通う歯科医院で働いています。作品中の最大の謎、「お姉さん」。
なんとペンギンを出せます。でもなぜ出せるのか、本人も知りません。出せる時と、出せない時があり、それについても原因はわかりません。
アオヤマ君はそんなお姉さんがとても気になっていて、お姉さんにつて研究しています。アオヤマ君はお姉さんの「おっぱい」にも興味を持っています。
お姉さんには海辺のカフェでチェスを教わっています。チェス盤ではなくお姉さんのおっぱいに目が行ってしまいます。
賢いアオヤマ君にお姉さんは「ナマイキ」と言い、ちっちゃいくせに気取ってるペンギンを、アオヤマ君にちょっと似ている。と言います。
物語の本筋
アオヤマ君の住む町では不思議な現象が起きていているのですが、それがなぜ起こっているのか謎だらけなので、アオヤマ君は友達のウチダ君と研究をしています。
研究名は「ペンギン・ハイウェイ」
なぜなら、町の至る所にペンギンが出現するから。ペンギン・ハイウェイの由来は、海から上がったペンギンたちが決まってたどるルートをそう呼ぶ事から「ペンギン・ハイウェイ」と名づけられました。
また、ペンギンのほかにも、近所の草原に出現した謎の物体「海」、クジラのような胴体に、手足のある奇妙な風貌の「ジャバウォック」の存在。
お姉さんの体調と「海」の挙動のリンク。すべての事柄が研究していくと見えてくる事実。
アオヤマ君、ウチダ君、ハマモトさんの3人で導き出した研究の成果をつなぎ合わせ、気が付いてしまった仮説。
それは、お姉さんすら知らなかったお姉さんの正体でした。
見終わった感想
いやー本当にワクワクしてドキドキしました。アオヤマ君はませているので、いっちょ前にお姉さんに恋心を抱いていたりして、本当に気取っててナマイキでした。
アオヤマ君が賢いからなのか、結構頼れる男の子なんですよね。
だからナマイキなんて言いながらお姉さんも意外とまんざらでもない感じで。でもだからこそ最後のシーンは少し切なくて。
小学生の時に大人の女の人にこんな風にされたら僕は確実に恋してたなー…笑
最後に
読み終わった後はすがすがしい気分になれるとてもいい小説でした。
強い日差しでコントラストの効いた青い空と緑いっぱいの自然を感じさせてくれる清涼感いっぱいの夏作品でした!
非常に読みやすく、とても良い作品なので、是非おすすめです。これから公開の映画も楽しみ。
※映画観ました。最高でしたよ。劇場版の感想はこちら