今回は小説「君の膵臓をたべたい」の感想を書いていこうと思います。
- 小説投稿サイト「小説家になろう」に投稿された作品で、その後双葉社から出版されました。
- 2017年に実写化されています。
- 2018年に劇場アニメが公開されます。
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君の膵臓をたべたい(住野よる)
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ネタバレご注意!
本記事では内容に触れております。まだ未読の方はご注意ください!
早速ですが、感想を書いていきたいと思います!
「君の膵臓をたべたい」を知るきっかけ
まぁ…知ろうとしなくてもタイトルを聞いたことないって人は稀なんじゃないかってくらい有名ですよね。自分もまさにその一人で。
タイトルだけは知ってました。猟奇的な作品だと思ってましたが。笑
っていうか佐藤よる氏ってこの作品がデビュー作なんですね!なんという才能…
「君の膵臓をたべたい」というタイトルのセンス
すごくないですか?「君の膵臓をたべたい」って。
この作品が素晴らしいことは後で書くつもりですが
なんといってもこのタイトルの吸引力ですよね。
小説業界ってどんなに作品が良くても手に取ってもらえなくて埋もれているものが結構あるらしく。
そういう意味ではタイトルって作品を世に知らしめる上でものすごく重要なコンテンツらしいですね。
もちろん内容の方が重要なんですが、「君の膵臓をたべたい」がここまで知名度が高くなった要因として、
タイトルの力による部分も少なくないと思えるくらいインパクトのあるタイトルですよね。
さて!本題の感想を書いていこうと思います。
まず最初に感じた事
桜良(さくら)が可愛すぎる。
そもそもこんな明るくて親切な女子がいたらどこにいたってモテるよな。と、いうかそういう位置づけの登場人物なんですが。
でも、その明るいキャラの桜良が、もう限られた寿命しかないという衝撃の前提から話が始まるんです。
元々明るいであろう桜良は自分が膵臓の病気で、余命が長くないことを知っているんですよね。
とは言いましたが、まぁぶっちゃけこの辺までの設定だったら過去のヒロイン余命限られてる系の作品ではよくある話なんじゃないですかね。
僕はむしろこれを読んだ女子高生くらいの子たちがヒロイン余命系に初めてであった時の感動で過剰評価されているんでしょどうせ?って思ってましたからね。
(心が死んでいる人間の思考)
でも読んでみるとやっぱり違うんです。心が引き込まれるんです。
何よりも、まず決定的に良いといえるのは、全体的な構成とか、演出がものすごく心に刺さってくるんですよね。
桜良が病期にかかってからつけている「共病文庫」という秘密のノートをたまたま見てしまう主人公が、桜良が家族以外誰にも言っていなかった病気の秘密を
知ったことで、なぜか主人公は桜良の予定に付き合わされることになる。とか、でもそれまでずっと1人で過ごしていた主人公が初めて他人と過ごす事を楽しいと思った。とか。
箇条書きだと普遍的で、淡々と語ってしまうと結構シンプルなんですが、
ちょっとひねくれてるけど、本当はイイ奴で、だけど誰もその魅力に気が付いていない主人公の魅力にいち早く気が付いた桜良が
かみしめるように残りの人生を楽しんでいるという描写が2人の会話から生々しいくらい感じられるんですよね。
でも、お互いに抱いている感情、主人公は人とのコミュニケーション不足により自分が抱く気持ちを理解できず、
桜良は桜良で勇気がなくて言い出せない。お互いに伝えるすべを持たないまま、
結局桜良はあまりにもあっさりこの世から去ります。しかも病気による余命とは関係なく、どこの誰とも知らない通り魔の手によって。
突然の展開
桜良の死にはびっくりしました。
「えっ?こんなにあっけなく終わるの!?いやいやどういうこと!?」って
主人公も言ってましたが、考えが甘かった…余命があるという事は、それまでは生きている。という事だと思い込んでいました。
良く考えたらそうですよね。病気だろうが余命が決まっていようが、事故や事件に巻き込まれる可能性はないわけではないですもんね。
とはいえ、あまりにも突然だったのでこの時点では悲しさというより、理解するのが精いっぱいでした。
共病文庫
設定面で言えば、ほかの作品とは決定的に違う点はこの、「共病文庫」の存在でした。
桜良の死後、ついに物語の要所要所で彼女が書き残していた共病文庫が紐解かれるとき、
主人公と桜が過ごした時、桜良がどう感じ、どうしたかったのか、伏線が回収されていくのです。
焼肉がおいしかったこと、旅行が楽しかったこと、泣いたこと、親友と仲良くなってほしいこと、必要とされていることに気が付いたこと。
ああ、あの時こんなこと思っていたんだ。って、主人公と桜良の過ごした日々を振り返って、
主人公と同じ気持ちになって共病文庫を読み返すことができました。
そして共病文庫の最後のページには「遺書の下書き」が残されていました。
そこでようやく、主人公に出合うことが、本当に桜良の救いになっていたのだということを知ることになります。
共病文庫を見られた時よりも、もっとずっと前から主人公のことが気になっていたということ。
ともに過ごす日々の中で、主人公に恋をしていることに気が付いていたこと。
いつも誰かと一緒にいないと自分の魅力を見つけられなかった自分とは正反対の主人公に
あこがれていたこと。
誰も必要としてなかった主人公に必要とされているということが、うれしくて泣いたこと。
共病文庫を読んでいるとひしひしと伝わってくるんですよねー…。
「大好き」って気持ちが痛いくらい伝わってくるんです。でもそれが叶わないものであることを、受け入れてしまっている感じも。
今この文章書いている時も悲しくてつらい。
遺書の下書きの最後の文は「君の膵臓をたべたい」。いつか桜良が口にしていたこのセリフ。
そして桜良が亡くなる直前、主人公が桜良に送ったメールと同じ言葉で締めくくられていました。
桜良がこのメールを通り魔に刺される前に読んだであろうということ、それを見た桜良はきっととても喜んだであろうこと。
自分と同じ気持ちだったということを確かめられたのだということは、唯一の救いのような気がしました。
最後に
普段あまりこういう青春系の作品は読まないので、久しぶりにこんな気持ちになった気がします。
それから、共病文庫を通じて、今まで1人も友達を必要としていなかった主人公に友達ができて良かった。
というより、そう望んでいた桜良の願いが叶って良かった。
友達の名前は桜良の親友「恭子」、そしていつもガムをくれる「ガム君」笑
文章の中でガム君に全然触れていませんでしたが、要所要所で「ガム食べる?」と話しかけてくる良い奴です。
本作はすでに実写映画化されているのと、2018年9月にはアニメが公開の予定となっていますので、別の媒体で制作された「キミスイ」も観てみたいと思います。
最後に、とても心に残る作品でした。心からおすすめできる作品であるとともに、
佐藤よる氏のほか作品も是非読んでみたいと思います。
劇場アニメを観てまいりました!僕の中では2018年に観た映画の中で1,2を争う良さでした。
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【感想】劇場アニメ-君の膵臓をたべたい-