中の人について

【感想】劇場アニメ-天気の子-

今回の記事はこちら劇場アニメ「天気の子」の感想を書いていこうと思います。

MEMO

大ヒットした「君の名は。」に続く新海誠監督の作品で、今年2019年7月19日に公開されたばかりの作品となります。
「君の名は。」の登場人物も出てきます。

・公式ウェブページはこちら

映画『天気の子』予報①

cMakoto Shinkai / CoMix Wave Films

ネタバレご注意!

本記事では内容に触れております。まだ未視聴の方はご注意ください!

早速ですが、感想を書いていきたいと思います!

見ようと思ったきっかけ

さて!
見ようと思ったきっかけですが、現代の世をこれだけ賑わすことのできる稀な人物、新海誠監督。

その人の映画ですからねー。観ない理由を見つけるほうが難しいくらいです。
なんてね!笑

まぁ、というのもありますが、僕は純粋に新海監督の描く世界観というか、時間の進み方、「キャラクター」というよりも「登場人物」といえるくらいリアルな人間の描き方が好きなのです。
というわけで、さっそく書いていこうと思います。

あらすじ

「あの光の中に、行ってみたかった」
高1の夏。離島から家出し、東京にやってきた帆高。
しかし生活はすぐに困窮し、孤独な日々の果てにようやく見つけた仕事は、
怪しげなオカルト雑誌のライター業だった。
彼のこれからを示唆するかのように、連日降り続ける雨。
そんな中、雑踏ひしめく都会の片隅で、帆高は一人の少女に出会う。
ある事情を抱え、弟とふたりで明るくたくましく暮らすその少女・陽菜。
彼女には、不思議な能力があった。

©2019『天気の子』製作委員会サイトから引用

まず最初に思ったこと

めっちゃ代々木、めっちゃ代々木じゃないか。

すみません。笑
最初に思う感想がこれなのは事情がありまして。
僕は散歩が好きなのと、会社が渋谷にある関係で、しばしば朝の通勤時に新宿、又は代々木駅から降りて渋谷まで歩くのです。

もしかすると「何言ってんだこいつ。歩ける距離なわけないだろ」って思うでしょう。
行けちゃうんですよ実は。新宿から渋谷までって1時間かからないくらいで行けるんですよ。ほら

すごくないですか?すごくないですかこの無駄な情報!笑
散歩好きな方は是非歩いてみてください。笑

で、本題に戻るとですね、上記の理由からまーよく歩くんですよこの辺り周辺を。
散歩コースなわけですよ。その散歩コースがアニメの舞台になったこの喜び。
なんか自慢みたいで申し訳ないのですがこんなにもうれしいものなのですね。

しかもですね、アニメの重要なキーポイントである「鳥居のある屋上」のモデルになっているビルは代々木に存在していますので、
もし近くに来られた際は是非探してみてください!
※近隣住民の方や施設へのマナー、配慮は忘れずに!

相変わらず美しいハイライト

雨の粒、跳ねる水、さらには今回は天候を操れる少女が出てくるという水表現のフルコース。
僕は新海監督の作品って、監督の中での演出の縛りに結構こだわっている気がしまして。
まず主人公と気になっている対象の人物の世界である事。これが大前提。基本的に2人の世界の話なんですよね。
で、その2人の世界を、より現実の世界として表現すること。だと僕は思っているんですよ。

現実とアニメの違いって挙げてくといっぱいあるんですが、大きな違いの一つとしては、「」の見せ方が違うんですよね。
通常のアニメで水とか雨のシーンで描かれている水って、水に見えるんですが、現実の見え方とは違う描き方をしていて、
わかりやすく言うと「」に見える「記号」で描かれているイメージになるのですが、新海監督の描く水は現実に近い見え方に見えるようにあえて色を多く描いているんです。

水の反射の法則って、光が当たって100%反射しているところとそうでないところが存在していて、さらに水の周りにある風景も反射していて、
かつ光が多く反射された部分に影ができる事で水が視覚的に見えているあの「水」の見え方になっているわけですが、アニメでそれをやるとなると、描かなければならない情報量がかなり増えてしまうんですね。

それに基本的には背景にあまりフォーカスする必要がないのでしょうね。だから通常のアニメでこのような水の表現を見る機会はかなり少ないのです。
それに根本的にアニメと現実では影の濃さが違うのです。アニメは現実よりも色を明るく表現していることが多いので、そこにいきなり現実に近い水の表現って結構いろいろな設定的に困難な話になってしまうのでしょうね。(僕はアニメーターではないのであまり適当なことを言うと怒られそうですが…笑)
でも新海監督の映画って、現実味にすごくこだわっていて、どのシーンも背景が写真のように綺麗に見せているんですよね。

だからこそ水も同じように現実に近い見え方で描いても整合性が崩れることなく自然に表現することができる。
そしてその演出を必ず入れ込んでいる。特に最近の作品では都会の景色にこだわっているような気がします。なぜなのかはわからないのですが。

今回は天気を操れる少女「陽菜
ひな
」が出てくるため、新宿の土砂降り→晴れ。という水とハイライトのフルコースなんですよね。まー美しいこと。
と、文章で書いてはいますが、言うのは単純ですがこれをあえてアニメでやるというこだわり。本当にすごいですよね。

でもだからこそ。アニメ映像を見たときによく耳にするようになった「あ、この映像新海誠監督っぽい」というキーワード。
「○○っぽい」の代名詞に「新海誠」が加わったのだと思うのです。

みたいな本当の少年少女

家出少年と子供だけで生活する姉弟の出会い

導入の設定がなかなか特殊というか。
いやしかし実写映画だったらよく見かける設定かもしれないですね。ただそれをアニメで表現するというのが新鮮な気がしました。

家出をして一人フェリーで東京に来て、突然新宿で生活を始めた16歳の少年と、
親が亡くなってしまって子供だけで生活をしている姉弟というなかなか非現実的な設定が「この先どうなってくんだろう」っていう期待と、未成年が都会で生活をするっていう冒険心をそそる展開が僕はとても好きな作品でした。

少年は雇先を探すため翻弄し、少女は日々の生活を続けるため仕事をする。
と、ここまでなら抑揚のないリアルな作品となってしまうのですが、ここで少女に「天気を変えられる能力」が加わることで一気に画に華のある作品となります。

東京に来た時知り合った男にもらっていた名刺の住所を辿り、主人公帆高は超常現象などの雑誌の記事を書いている会社に拾われることになるのですが、
そこで「100%の晴れ女」なる都市伝説の情報と出会うのです。

都市伝説の取材を重ねていくうちに陽菜と出会い、生活費に困っている陽菜の生活を支えるため、帆高は天気を100%晴れにできる能力をもつ陽菜にしかできないサービス「お天気ガール」を思いつきます。各地で天気にしてほしい依頼を募り、当日に現地に赴いて天候を晴れにするという、神様みたいな仕事ですよね。笑

だんだん暗雲が立ち込めていく先行き

天気を変えることができる能力は、神から与えられたもの

しかも天気を操れるというのはあくまでも副産物に過ぎず、深刻に崩れていく東京都の天気を「元に戻すための人柱」というのが実際の役割だったのです。
人柱、ということは生贄ということで、代償として陽菜は、ある時突然消えてしまいます。
さらに家出のほかに、ある時本物の拳銃を手に入れた帆高は、陽菜を助けるため、威嚇射撃をしてしまったことがきっかけで、警察にとらえられてしまうのです。

一人の少女と引き換えに約束された

陽菜が消えた翌日からは東京に晴れが戻りましたが、帆高は陽菜を探し続け、ある時陽菜が言っていたことに気が付くのです。
代々木のビルで鳥居をくぐった瞬間に天気を変える能力を得た」という情報を信じ、警察署から脱走し、代々木の鳥居を目指し、ついに雲の上にとらえられた陽菜を見つけ出すのでした。

結果として帆高は陽菜を人柱から解放したため、東京の天候は狂うこととなり、東京のほとんどが海に沈みました。

その後、帆高は地元に帰らされ、高校の卒業まで地元で暮らすことになりますが、卒業後、東京に戻り、陽菜との再会を果たします。

印象に残っているシーン

東京の天候が狂い始めた日、帆高は警察に追われ、陽菜と陽菜の弟、凪は未成年者だけでの生活を疑われ、警察と児童相談所が家に訪ねてくるのを恐れて3人で街に逃げ出すのですが、どこもホテルは満室か、未成年であることを疑われ入れてもらえず、ようやくホテルに泊まれた夜のシーンが印象に残っています。

子供だけでホテルに泊まるというワクワク感と、行先のない不安や現実を忘れ、一時だけの自分たちだけで手に入れた自分たちの時間。

夕飯を自販機のインスタント食品をかき集めて3人でテーブルを囲んで賑やかに過ごしたり、備え付けのカラオケで歌を歌ったり、ホテルのジャグジーに驚いたり。
大人だったら驚かないかもしれないし、そもそも許されない事ではないのに、未成年であるせいで、自分たちの権利の自由を許されていない子供たちが手に入れた”一瞬の自由“。

誰でも一度は感じたことのあるあのもどかしさを、大人になったらいつか忘れてしまう「早く大人になって手に入れたかった自由」を猛烈に求めている少年少女の時間がとても懐かしく、自分も彼らと同じ気持ちになったような気分になりました。

見終わった感想

「天気の子」のストーリーは箇条書きにすると本当にシンプルで、たぶん僕のブログを読んだだけでは面白さは伝わりにくいのではないかと思うほど、フィクションとしては普遍的な話なのですが、各部シーンのテンポがとてもよくて。

また、新海監督の描く絶妙な現実と非現実の表現が、というよりもその表現だけで、面白い。と感じさせているのではないかと思うほどシンプルに素晴らしい作品でした。
それから、前述で書いた視覚的な現実表現のほかに、インスタント食品店の名前雑誌など、さまざまなものを現実の名前で扱っています。

普通製品名などは権利の問題で、名前を変えたり架空の製品名を使ったりして、現実の製品を登場させるということはあまりしていない作品が多いのが一般的だと思うのですが、
多数の製品を実際の製品名として登場させることで、より「現実の東京」をアニメ化することに成功しているのではないかと感じました。

もしかするとタイアップする必要があったりとか、そういった理由もあり得るとは思うのですが、舞台が日本の実際の地名ということもあって、現実に存在する製品というのはとても重要なアイテムなのではないかと思いました。写実的な表現に加え、現実の製品を登場させる。という演出が、やけに現実味を持たせるのに一躍買っているように思えた作品でした。

と、僕の中では新海監督の映画作品の戦略的な部分に、とても目を見張った作品でした。

というわけで、最後まで読んでいただき、ありがとうございました!
それでは!

“新海誠監督作品”の関連記事
【感想】ショート-彼女と彼女の猫- 【感想】劇場アニメ-すずめの戸締まり- 【感想】言の葉の庭

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です