中の人について

【感想】劇場アニメ-映画大好きポンポさん-

Daisuke

みなさんこんにちは!
今回は劇場アニメ『映画大好きポンポさん』の感想を書いていこうと思います。

ポンポさんの公式サイトはこちら

MEMO
  • 原作は杉谷庄吾【人間プラモ】氏による漫画作品。
    2017年4月にイラスト投稿サイトのpixivに投稿され、
    2018年の「マンガ大賞」「このマンガがすごい!  オトコ編」にも入賞した。
  • アニメ制作はCLAP。
  • 監督、脚本は魔女っこ姉妹のヨヨとネネで知られる平尾隆之氏。
  • キャラクターデザインはSAOのキャラデザやリコリス・リコイルでは監督も務めた足立慎吾氏。
  • 複数の配信サービスにて見放題配信中(23.02.03)
    ※詳細は公式サイトにて確認いただけます。
ポンポさんが来ったぞぉ!

マチ子

Daisuke

本作のキャッチコピーは”幸福は創造の敵”。
なかなか尖ったキャッチコピーだよね!
それだけに、刺さる人にはぶっ刺さったアニメだったようだな。

マチ子

それでは早速、映画大好きポンポさんのレビュー行ってみましょー!

劇場アニメ『映画大好きポンポさん』本予告

©2020 杉谷庄吾【人間プラモ】/KADOKAWA/ 映画大好きポンポさん製作委員会

※この記事は作品への否定的な内容、ネタバレを含みます!

作品が大好きな方は気を悪くしてしまうかもしれないため、
そう感じる方へはお勧めできません。

何卒、ご留意ください。

最初に感じた事

絵がかわいい。

はい。まずはこれに尽きますね。
色々アニメを観る機会はありますが、
この”ポンポさん”って結構デフォルメの効いた”キャラ”っぽい絵のデザインですよね。

人によっては好き嫌いがあるかもしれませんが、ソードアートオンライン(SAO)WORKING!!
それから流星のロックマンでもキャラデザを務めている足立慎吾氏がキャラデザ担当なので、
これらの作品に触れてきた世代には特になじみ深いデザインだったのではないかと思います。

基本的には6~6.5頭身くらいのデザインですが、ポンポさんだけ5頭身で、デフォルメが強めなので、
TVアニメドラえもんに登場する猫型ロボットの”ドラえもん”のような、マスコットっぽい印象を受けます。
それもこの作品の良さにつながっているように思います。

なんか所々でキャラの線画とか背景にネオンカラーっぽい着色がされていて、おしゃれだったね!

どろどろ君

キドウジュ

©2020 杉谷庄吾【人間プラモ】/KADOKAWA/ 映画大好きポンポさん製作委員会

Daisuke

確かに良いよね。視覚的におしゃれに魅せるための演出なのかな?
そういう事なんじゃね?心理描写とリンクしてる的な場面もあるかもしれんけど。

マチ子

Daisuke

なるほど。ネオンカラーで描くって可愛くて良いね。

映画大好きポンポさんのあらすじ

敏腕映画プロデューサー・ポンポさんのもとで製作アシスタントをしているジーン。
映画に心を奪われた彼は、観た映画をすべて記憶している映画通だ。
映画を撮ることにも憧れていたが、自分には無理だと卑屈になる毎日。
だが、ポンポさんに15秒CMの制作を任され、映画づくりに没頭する楽しさを知るのだった。

ある日、ジーンはポンポさんから次に制作する映画『MEISTER』の脚本を渡される。
伝説の俳優の復帰作にして、頭がしびれるほど興奮する内容。
大ヒットを確信するが……なんと、監督に指名されたのはCMが評価されたジーンだった!

ポンポさんの目利きにかなった新人女優をヒロインに迎え、波瀾万丈の撮影が始まろうとしていた。

©2020 杉谷庄吾【人間プラモ】/KADOKAWA/ 映画大好きポンポさん製作委員会

お仕事系アニメ、その映画製作版(以降ネタバレ注意!)

タイトルからも伝わって来ますが、この作品のジャンルは”お仕事系アニメ“だと思います。
同じジャンルの作品では、リアル寄りだとアニメ制作をする”SHIROBAKO“や辞書の編集をする”舟を編む“、
比較的ファンタジー寄りだと旅館経営の”若おかみは小学生!“辺りが入ってくるのかな、と感じました。

ポンポさんはどちらかというと、若おかみは小学生と同系の、ファンタジー寄り。といったところでしょうか。

リアル、ファンタジーについては主観的な見方ですが、例えば、”舟を編む”や”SHIROBAKO”は実際の制作の現場の雰囲気を持って作られていて、
1から完成させていくまでのドラマを描いているのに対し、
“ポンポさん”や”若おかみ”は実際の仕事というよりは、作業を誇張し、夢を持たせて表現されている部分が多く、キラキラしたファンタジー的要素の多く入れこんでいる印象があります。

悪くいってしまえば予定調和とかご都合主義的な部分もあるのですが、でもそれがむしろ良いスパイスになっているというか、
それぞれ頭身が低く、誇張されているキャラデザの雰囲気もあってか、夢のあるストーリーとして作品の魅力につながっていると思います。

さる人には刺さる。という絶妙な魅力

この映画は、映画オタクの主人公ジーンが伝説映画監督の孫娘であるポンポさんに映画監督を任命されて奮闘する。
というのが主軸にある作品として描かれているため、撮影だったり、編集作業にスポットを当てて描かれています。

そのためTwitterなどでも”何かを創ったことのある人向け“とか、クリエイター方面の仕事をしている人は特に刺さる。という言われ方をしているのをよく見かけます。

まぁ、言わんとしていることはわかりますし、僕も本業がそれに近い仕事をしているのと、絵や文章を描いたり、
過去に曲作りもしていたりしたので”創造“をしたことがあるかないかで言えば、ある。って事になるとは思います。

ただ、僕には正直あまり刺さらなかったかなぁ。と思ってしまう作品でした。
ピンとこないというか。なんで世間でここまで評価されてるのかちょっと疑問に思ってしまうくらいに。

なので、世間の刺さった人たちのコメントを読み漁り、何となく僕が感じることができなかった部分の正体がわかってきました。

それは”頑張って作った物を切る辛さ“なのかな?と、感じました。
つまり、ジーン君が72時間撮った映像を90分にまとめる作業。そしてそれに、人生がリンクしているように表現している描写に共感しているのかな?と、
ぼんやり気が付きました。

キャッチコピーである”幸福は創造の敵“というのはそういう事なのかなと。なるほどと思ったわけです。
ですが、やはり僕が共感できなかった部分は、僕はあまり努力とか、頑張りを評価対象としていないからです(※かっこつけているわけではないです)

大切なのは、結果だと思うのです。
なので、切るとかボツにするっていうのは全く苦ではないというか、そこに価値を感じられる感覚を持つという事こそクオリティを上げるために必要な感覚だと思っているからです。

なぜなら、創作(っていうか他人に見せるために創った作品)において”つまらない“が最も最低の評価だからです。”面白い“が正義です。
どれだけ頑張っても、つまらなかったらだめなんですね。

なので、「頑張ったね(面白くはないけど)」じゃなくて、「面白かった。」じゃないとその作品は残念ながら凡作、駄作の部類になると思うんですね。

じゃあ面白いって何?って話になるんですけど。
それは”どれだけ視聴者の感情を動かすことができたか“です。

僕はどうも映画のポンポさんに感情移入できるシーンが少なく、共感できずにただ観てしまいました。

ジーン君に感情移入してるんじゃないの?

ジーン君への感情移入。多分”刺さった人“の多くはジーン君に感情移入しているようでした。

ですが、僕のような人間がジーン君に感情移入できない要素があります。
それは”ジーン君が映画を好きになった理由“が曖昧だから。です。彼は”映画がとにかく好き“という役割を持ったキャラのように思います。
好きになった経緯は説明されていましたが、明確な瞬間は存在していませんでした。とにかくわけもなく映画好きな属性を持った”キャラクター“でした。
ただ、それは悪口とかではなく、そういう立ち位置のキャラだったので、問題ではないはずです(彼がパスを出すからポンポさんが詳しく説明できる。という存在)。

僕は映画を観た後、
あまりにも疑問だらけだったので、映画の後、pixivにて原作を読んだところ、何となくその原因がわかりました。

ジーン君が映画を好きになったシーンは、原作でも描写されていませんでした。
つまりジーン君はあくまでも”映画が好きな主人公“という属性のキャラクターのようです。原作でも同様にジーン君に感情移入はできませんでした。
特に理由もなく好きという言うだけの人物に共感することが、僕にはできないからです。

ただし、原作では、ジーンに感情移入できない代わりに、
ナタリーが女優になろうとしたきっかけ“が描かれていました。
なぜ女優を目指そうと思ったか。なぜ苦労してまで女優になりたかったのか。

劇場版ではこのシーンがカットされてるのです!!!!

このシーンこそが、この作品に感情移入できる最も重要なポイントだったのではないかと感じました。
原作にはこのシーンがあったからこそ、ジーン君が”MEISTER“のロケでのナタリーに衝撃を感じるシーンが映えたのではないかと思います。

物語を90分に収めるという原作からの縛りがある点や、編集作業に焦点を当てた事、また90分の兼ね合いでアランというキャラクターを出したことでナタリーのシークエンスを省略せざるを得なかった等々、事情は何となく分かるのですが、
本当はこれこそ見せた方が良かったんじゃないのかなー?と思いました。

なぜなら、劇場版ではアラン君に感情移入できるシークエンスが用意されていましたが、
アラン君は身内というより”協力者“という立ち位置にしかなれていないので、
そのキャラに感情移入したとしてもアラン君の勝ち取った融資は”製作者“サイドの功績として受け止められないわけです。

なので、結果的に僕の中では、銀行からの融資はラッキー要素という認識になってしまったのです。

なーんとも難しい所だわな。

マチ子

Daisuke

まぁね。少なくとも、この映画結構評判いいみたいだから、僕の感覚が間違っていてほしいくらいには思ってるよ。
泣く泣く編集で切ったシーンってのが、この事の暗喩だったら皮肉だけどな。

マチ子

印象に残ったシーン

印象に残ったのは、皮肉にもアランが銀行の融資を勝ち取ったシーンでした。

シンプルですが否定されている会社上層部の意見を覆すというシーンは感動的です。
アランが全国配信していたのがコンプラ的にどうとかっていう話が指摘されているのを見かけましたが、僕としてはまぁデフォルメされた世界だからっていう事でご愛嬌かと思います。突っ込み始めたらっキリがないですし。

最後に

正直なところ”編集作業“に焦点を当てた結果、さらに原作の性質上、”90分にまとめなければならない“という制限付きだったため、
かなり無理くりまとめなければならなかった背景があったのではないかと勝手に推測していますが、不完全燃焼に感じてしまった部分が非常に惜しかった作品だと思いました。
キャラの動きやデザイン、画的な見せ方は悪くなかっただけに…!

なので、総評としては”刺さる人には刺さる“というのは全く事実。
だけど逆に言ってしまえば刺さらない人には全く刺さらない可能性のある映画。という結構ピーキーな作品だったのではないか。という感想でした!

というわけで、劇場アニメ「映画大好きポンポさん」の感想でした。
今回も最後までお読みいただき、ありがとうございました!

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です