中の人について

【感想】劇場アニメ-東京ゴッドファーザーズ-をおすすめしたい!

幼子の 頬に粉雪 きよしこの夜

マチ子

Daisuke

みなさんこんにちは!
今回はクリスマスに是非ともおすすめしたい心温まる劇場アニメ『東京ゴッドファーザーズ』の感想・レビューを書いていこうと思います。

東京ゴッドファーザーズ公式サイト

MEMO
  • マッドハウスよるアニメーション作品です。
  • 2003年11月08日に全国公開されました。
  • 監督は今敏氏。
  • キャラクターデザインは小西賢一氏、今敏氏。

東京ゴッドファーザーズ
©今 敏・マッドハウス/東京ゴッドファーザーズ製作委員会

あらすじ

ギンちゃん、ハナちゃん、ミユキ-。

新宿で暮らすホームレス3人組の前に、意外なクリスマス・プレゼントがやってきた。
ゴミの山の中で生まれたばかりの赤ちゃんを発見したのだ。

勝手に“清子”と命名し、ゴッドファーザー(名づけ親)となった3人は、雪ふる街を、親を探してさまよい歩く。

ウラ東京で、人生を生き抜くホームレスたちが、急転する「運命」の中で出遭う<奇跡>とは。

©今 敏・マッドハウス/東京ゴッドファーザーズ製作委員会

この作品に出会ったきっかけ

この作品に出会ったのはそう、高校1年の時レンタルビデオ店のTSUTAYAで出会いました。

当時僕が知るアニメ映画はジブリかディズニーくらいのもので、
大友克洋氏や押井守氏の作品を知り「うおー!劇場アニメおもしれー!」となっていった時期でした。

その時にTSUTAYAで紹介されていた”今 敏(こん さとし)”という監督の名を知ります。

Daisuke

「いま…びん?」となっていた当時の自分が懐かしいです。

監督は2010年にすい臓がんで亡くなられましたが、
1997年に公開された”パーフェクトブルー”から、遺作となった”パプリカ”まで、
そのすべてがアニメ好きの間では伝説的な人気を誇り、複雑に展開する情報量の多い脚本を綺麗に1本の映画にまとめられる才能は、まぎれもない天才と言える人だと思います。

パーフェクトブルー、千年女優、東京ゴッドファーザーズ、パプリカの4作品と、TVアニメの妄想代理人が1作品。

計5作品ある中で、個人的には一番好きかなーと思っているこの作品。

今敏監督の作品はどちらかというと重たいテーマの作品が多いため、
万人に進めやすいとは言いずらい作品もあるのですが”東京ゴッドファーザーズ”は話がとてもわかりやすく、どんな人にも勧められる上に、
観た後に幸せになれる、愛すべき作品だと思います。

最初に感じた事

テンポ良いーーーー!!!

今作の主人公は訳アリのホームレス3人組。
元ドラァグクイーンのオカマ、ハナ(梅垣義明)
自称元競輪の選手、ギン(江守徹)
家出中の少女、ミユキ(岡本綾)。

3人がクリスマスの夜に赤子を拾い、勝手に清子(きよこ)と命名するところから始まります。

赤子の母親探しをする中で様々な奇跡的な出来事が起こるのですが、息つく間もなく次々に展開するテンポの良さがとても気持ち良くて、
なのに話が複雑ではないので一気に引き込まれていきます。

3人のキャラが濃く、コミカルな会話が面白いので日常的なシーンが間延びしないんですよね。

ギンちゃんはザ・おっさんという感じで、ミユキは世間知らずのわがまま娘なので、常識人のハナちゃんが2人にツッコミを入れるという流れが常にあります。

声優さんの演技もすごく自然で良くて、キャラの顔芸と相まって、しゃべりだけで充分間が持つ作品です。

普段見る事の出来ない視点からの新宿が良い

舞台は新宿なので、雑多な店看板や人混など、煌びやかな街並みがある一方で、ホームレス達が生活する中央公園や、
路地裏に積み上げられたごみ袋など、一般人との対照的な生活が描かれます。

ホームレス達の生活は、新宿の人々とは完全に切り離された別世界の住人のようで、
間違いなく現世なのにどこか浮世離れしていて、だけど幻想世界のファンタジーではない。

今敏監督の描く作品は基本的に幻想というか、現実なのか幻覚なのか、それは願望なのか妄想なのか。みたいな、
夢と現実が交互にまざりあう作風が特徴的なのですが、今作に限っては基本的に全部現実なんですよね。

その現実で浮世離れしたホームレスに奇跡が起きる話なので、ある意味普段の作風とは逆の展開をしている作品と言えます。

これ以上落ちぶれようがないホームレスに焦点を置いている所から、どん底からの逆転劇という意味でも、まさに逆転的なニュアンスを持たせているのかもしれません。

今作よりも前に発表されたパーフェクトブルー、千年女優の2作品と比べ、キャラクターの表情や動きもかなりコミカルに誇張されている表現も良いですね。

この作品の後に妄想代理人、パプリカと続くので、キャラの誇張した表情などについてはこの作品で発見があったのかもしれませんね。

ゴッドファーザーは”名付け親“という意味がある(以降ネタバレあり!)

タイトルにもある”ゴッドファーザー”は「名付けの親」という意味があります。

キリスト教の習慣で、洗礼に立ち会って保証人になることを意味していて、
教父をゴッドファーザーと呼ぶので、名付け親。の意味で用いられるって事らしいですね。

物語の中で、赤子の名前を勝手にハナちゃんが命名しちゃうので、その時点ではゴッドファーザーではないのですが、
連続する奇跡の中で最終的にタイトルの意味を伏線回収して最終的に名付け親になる。っていうオチの付き方がマジで秀逸です。

この作品は”家族”がテーマとして描かれているのですが、出てくる家族像はどこか欠けていたり、いびつだったりします。

フランシス・コッポラの有名な映画”ゴッドファーザー”にもタイトルが掛かっているのか、ヤクザも出てきます。

ヤクザやマフィアも血のつながりはないですが、家族(ファミリー)と呼ばれますよね。

恐らく、”家族”を作りたいと誰よりも強く願っていたのは、幼いころに親に捨てられ虎児として育ったハナちゃんの願いなのではないかと思います。

ギンは元々家族がいましたし、ミユキも家出中なので家族はいます。

ですが、ハナちゃんだけは家族がいないのです。
ギンやミユキはやり直せても、ハナちゃんは元からいないのです。

だから、家族が欲しかったんじゃないかと思うのです。

その願いを、一瞬だけ神様が叶えてくれたのが今作で起こった奇跡なのではないかと思いました。

印象に残ったシーン

この作品、印象に残る小さなシーンが多くて抜粋しずらいですね…

でもまぁ、クライマックスの屋上からハナちゃんが落ちるシーンですかね。

奇跡、ここに極まれり。って感じで。ついでに朝日まで昇っちゃって。

背景美術で現実味を持たせるように、徹底的に新宿を描いている所も良いですよね。あり得ないことが起きている感が際立つので。

最後に

この作品は書き切れないくらい小ネタと小さな伏線のオンパレードで、
目まぐるしく展開してく物語の中で見事にそれらが回収されていくのも結構見ものでした。

クリスマスが近い今の時期には特に一押しなので、是非ともおすすめしたい作品です。

というわけで、今回も最後までお読みいただき、ありがとうございました!

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です