Daisuke
今回はTVアニメ『大雪海のカイナ』(3話までの感想)を書いていこうと思います。
- ポリゴン・ピクチュアズによる設立40周年記念のアニメーション作品です。
- 2023年1月より放送中。
- 監督は安藤裕章氏。
- 脚本は村井さだゆき氏、山田哲弥氏。
- キャラクターデザインは福士亮平氏、小谷杏子氏。
- 配信はAmazon Prime Videoにて見放題独占配信。
マチ子
Daisuke
マチ子
それでは早速、大雪海のカイナのレビュー行ってみましょー!
TVアニメ『大雪海のカイナ』本予告/2023年1月11日(水)放送開始
©弐瓶勉/大雪海のカイナ製作委員会
まず初めに言わせてほしい
待ってました。
ええ。一ファンとして、弐瓶勉氏の関わる新作と聞いただけで心踊ります。
むさぼるように情報を調べまくって制作発表の生配信情報へ行きついた昨年の今頃が懐かしいです。
2018年にフジテレビの放送枠として誕生した「+Ultra(プラス・ウルトラ)」。
その新作ラインナップ発表会として昨年2022年にYoutubeの生配信にて本作の製作が発表されました。
大雪海のカイナのあらすじ
「雪海」が拡がり続ける異世界――。
人々は巨木「軌道樹」から広がる「天膜」の上で
かろうじて暮らしていた。
天膜の少年カイナと、雪海の王女リリハが出会うとき、
滅びかけた世界を変える物語が、始まる――。
©弐瓶勉/大雪海のカイナ製作委員会
世界観のスケールがぶっ飛んでる(以降ネタバレ注意!)
©弐瓶勉/大雪海のカイナ製作委員会 軌道樹と天膜
まず前提として僕らが住む地球の木はでかいと言ってもせいぜいビルくらい。
特例的にアメリカにあるセコイアという巨人のような大きさの木がありますが、それでも100m程度。
木の上部に行くと空気が薄くなるなんてことはありえません。
この作品に出てくる巨木”軌道樹(キドウジュ)“はなんと雲よりもはるか上まで達している様子です。
その軌道樹の上に広がる”天膜”と呼ばれる透明の膜の上で生活をしている村で、主人公カイナは暮らしています。
地上で生活していた登場人物”リリハ“が天膜を目指す際、風船のような虫(?)”浮遊虫“に乗って地上から天膜に訪れていたため、
高さはジェット機が飛ぶ高さの成層圏あたりまで到達しているのかもしれませんね。
※研究などで使う人口の風船”スペースバルーン”の限界が20~30Km付近らしいので。
そんな高さで生活しているので、天膜に住むカイナは屋外へ出る際、酸素吸入用のマスクをしていたり、気密服と呼ばれる防寒服を纏って生活をしています。
富士山の山頂でさえ真夏の8月でも日中0℃くらいなので、この高さで生活しているカイナ達は、極寒の中生活をしているわけですね
どろどろ君
Daisuke
食生活も我々とは大きく異なる。
©弐瓶勉/大雪海のカイナ製作委員会 トビケラのスープ
食べるものも我々とは異なり、天膜付近では大きな虫が栄養源になっているようです。
僕らには普段から虫を食べる文化が無いので、虫を美味しそうに食べているシーンはリリハと同じく「うっ…」てなりますよね。笑
Daisuke
マチ子
面白いのは、透明な天膜の材質は”トビケラ”というコオロギみたいな虫によって生成されているらしく、
その生態系を邪魔しないようにカイナ達も狩りを行っている事でした。
トビケラを採りすぎると天膜の修繕が行われなくなるので採りすぎないようにする。あくまでも自然の生態系の中に人が存在するという世界観。良いですね。
スタジオジブリの名作”風の谷のナウシカ”に似ている箇所が多い?
©弐瓶勉/大雪海のカイナ製作委員会 アメロテ
アマゾンのレビューやほかの方のブログを見るとスタジオジブリの名作”風の谷のナウシカ“になんか似ている。という意見が多くみられました。
確かにこの世界の”雪“が胞子っぽかったり、オオキドウジュムシという大きな虫が出てきたり、ナウシカっぽい感じはあるかもしれませんね。
敵国バルギアの”アメロテ“さんなんか、クシャナ殿下っぽさもあるし、傍らに参謀のクロトワっぽいのいるし。
ただ、僕個人の意見としてはこの作品、ナウシカの影響も多少あるかもしれませんが、
“ナウシカに影響されている作品”というよりは、”ナウシカが影響された作品”と同じ作品に影響を受けているのではないか。と思っています。
その作品が”地球の長い午後“という、1962年発表のイギリスのSF小説です。
以前書いたアバラの記事でも少し参照ました。
【感想・考察】漫画-アバラ-
なぜその作品に影響を受けていると思ったかというと、ナウシカもその作品の影響を受けていると言われているのと、弐瓶氏もその小説の帯にイラストを寄与するくらいには好きと仰ってるからです。
・早川書房公式のツイート
【「このSFが観たい!」フェア】
『地球の長い午後』ブライアン・W・オールディス/伊藤典夫訳
https://t.co/1eDBGfXPVk
〔ヒューゴー賞受賞〕イギリスSF界を代表する巨匠が、悠久の時の果てにSF的想像力の精髄を展開する名作
推薦は弐瓶 勉さん pic.twitter.com/vjSD5rvlx3— 早川書房公式 (@Hayakawashobo) April 27, 2017
※弐瓶氏が描いているイラストの”ツナワタリ”はクモのような虫で、巨大植物の上に糸を張り巡らせて生活しています。
それで、この”地球の長い午後”ですが、
あらすじは地球の自転が止まってしまったことによって、片面だけ太陽光が当たり続けた結果、
進化した巨大な”ベンガルボダイジュ”という植物によって地球の半分が覆われた世界の話なんですね。
さらにこの小説、SFのヒューゴー賞を取得しているだけあって、僕らが想像している地球の生態系に対する概念をめちゃめちゃ超越して描かれているんですね。
虫は普通に人よりでかいし、植物は当たり前のように人を捕食するし。人を奴隷化している植物もいます。
そんな”地球の長い午後”ですが、植物の幹の上で生活をしている主人公が、月へ行ってからさらに地球へ降りてきて物語が始まるので、
世界観や骨組みが結構似ているように感じたので、きっと影響を受けているんだろうなぁ。と、思ったわけです。
ただ、小説が60年も前の物なので、現代でこのような話をするには少々登場人物の価値観が古いのと、生態系がぶっ飛びすぎてるので多分それを抑えて令和の日本用にフォーマットしなおしたのがカイナの世界観のベースになっているのかな。と思いました。
マチ子
Daisuke
印象に残ったシーン
©弐瓶勉/大雪海のカイナ製作委員会 宙づりのカイナ
印象に残ったのは、3話の「軌道樹の旅」で、軌道樹を降りているカイナ達が休憩をしている際、
リリハが便意を催したのでカイナに”いい?絶対に見ちゃだめだからね?”というのですが、
虹を見つけたカイナはうっかり後ろを振り返ってしまいます。
そこで殴られてロープで宙づりになるというシーンですね。
弐瓶氏の”シドニアの騎士”で、何度も安全帯に宙づりになっていた主人公ナガテのセルフオマージュです。
タッグを組んだポリゴン・ピクチュアズとの素晴らしいファンサービスでした。
Daisuke
最後に
まだ3話なのでこれからが非常に楽しみで仕方ないです。
アトランドとバルギアの関係も気になりますし、天膜で過ごしていたカイナが地上へ行ったことで、どんな変化が巻き起こるのかも想像ができません。
過去に失われた”看板“に書かれていた文字が何を意味するのか、また、リリハとカイナだけが知っている”ヒカリ“の存在も気になります。
それに、TVアニメの続編として劇場版の製作も決まっているようです。
というわけで、今回も最後までお読みいただき、ありがとうございました!
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