中の人について

【感想】小説-青くて痛くて脆い-胸がえぐられる!?

大人になるって何なんだろうな

マチ子

Daisuke

みなさんこんにちは!
今回は住野よるさんの小説”青くて痛くて脆い“の感想を書いていこうと思います。

青くて痛くて脆いの公式サイトはこちら

MEMO
  • 住野よる氏による長編小説作品です。
  • 小説誌『文芸カドカワ』にて2017年4月号から2018年1月号に連載されていました。
  • KADOKAWAより2018年3月2日に刊行されました。
  • 吉沢亮さんと杉咲花さん主演で映画化され、2020年8月28日に公開されています。

声優の斉藤壮馬さんが冒頭部分を朗読した特別動画があったので貼り付けておきます!

人気声優・斉藤壮馬が朗読する『青くて痛くて脆い』住野よる

Daisuke

声優さんの表現力すごいな…ほかの小説の朗読も聴きたくなってしまうね

まず最初に感じた事

共感できすぎて直視できない…

なんというかね、端的に言えばタイトルのまんまなんですよね。
青くて痛くて脆い“人の話なんですよこれ。もうめちゃくちゃそのまま。ネタバレになってしまいそうなくらい直球にイタい奴の話。

でも、どっか思い当たる節があるんですよこの痛さ。考え方。ああわかる。わかる。
ただ、この痛さを理解できるという事を他人に悟られたくなくて大人のフリをしてしまっている部分ってありませんか?僕はあります…笑

その大人のフリをし始めてからしばらく経った気がするけれど、本質的な心の在り方は、僕は多分まだ青くて痛くて脆いままだなぁ…とも思います。
けれども、世間のリアクションを見ていると、この”痛さ”を思いのほか理解できてしまう人が多かったりするのかな?と感じてもいます。

青くて痛くて脆いなんてこと、正直認めたくはないのですけれどね…

青くて痛くて脆いのあらすじ

人に不用意に近づきすぎないことを信条にしていた大学1年の春、僕は秋好寿乃に出会った。
空気の読めない発言を連発し、周囲から浮いていて、けれど誰よりもまっすぐだった彼女。
秋好の理想と情熱に感化され、僕たちは二人で「モアイ」という秘密結社を結成した。

それから3年。
あのとき将来の夢を語り合った秋好はもういない。
僕の心には、彼女がついた嘘が棘のように刺さっていた。
「僕が、秋好が残した嘘を、本当に変える」
それは僕にとって、世間への叛逆を意味していた――。

©KADOKAWA CORPORATION 2020

あらすじを読む限りではそんなに青くて痛くて脆くはない気がするけれど

どろどろ君

Daisuke

そうだね。読んだ後に”なるほど”って感じると思うよ

視点が一つだと、価値観も一つ(以降ネタバレご注意!)

この作品の特徴は、全編主人公1人の視点で語られているということにあると思います。
良いことも悪いことも、楽しかったことも悲しかったことも、すべてにおいて主人公”田畑 楓”が感じた事に尽きています。

田畑君を一言で説明すると、口数の少ない物静かな青年、という感じではあるんですけど、強情というか、一度決めたことを変えるということに強い拒否感を持っているんですよね。
それはつまり、青さであり、客観的に見ると痛くて、事実として脆い。
一言でかたずけてしまうなら、”若さ”でしょうか。

良い面としては”一途”ということなのだと思います。純真で、濁りがなくてただ一点だけを見つめ続けることのできる綺麗な心。
悪い面としては、その一点以外を認めることができない事。

ですから、自分が信じた人を、自分が信じたときの解釈でしか認めることができない。変化を受け入れることができず、”変わってしまった”と考えてしまう事。

それは大学に入学してすぐに出会う”秋好寿乃”の変化を、裏切りととらえてしまう極端な発想につながってしまいます。

秘密結社”モアイ“の設立

すべての始まりでありすべての元凶となってしまう”モアイ”というグループ。秘密結社という名目ではありますが、主人公”田畑楓”と”秋好寿乃”が2人で結成した大学のサークルです。

秋好の掲げるモアイの信念は”4年間でなりたい自分になる”というもの。主人公はそれを聞いてなんて恥ずかしい奴なんだと言っていましたが、恐らく、そんな羞恥心を感じさせない秋好の信念に、そして自分では恥ずかしくて言えないことを堂々と言えてしまうまっすぐな秋好に、異性としてではなく惚れ込んでしまったのではないかと思いました。

内定も決まった大学3年目での決断がぶっ飛びすぎている

特にぶっ飛んでるなぁと思ったところなんですが、田畑君は作品の序盤で内定決まってるんですよ。就活終わってるんですよ。
就活の完了と共に決起するんですよね。自分を見限った秘密結社への報復ともいえる革命を…

大学生活でできた友人やバイトの後輩を割と大きく巻き込んでかつて自分が設立した”モアイ”への復讐を思い立つわけです。
あまり掘り下げすぎるとネタバレ以上になってしまうので、この辺でやめておこうとは思いますが、今作は”住野よる氏=キミスイ”のような青春小説を書く作家だと思っている人にとっては、大きくイメージが変わるきっかけにもなる作品だなーと思いました。

印象にったシーン

ちょっと意外なところになるかもしれませんが、結構序盤の田畑君が内定をもらった直後あたりですね。

履歴書に書いた志望動機や自己PR。発泡酒を煽りながらそれらに嫌悪感を抱いているシーンです。
特に”自分じゃない、を貫いて、結果を得た。“という部分。何となくですが、この作品の本質であり、主人公田畑君が、最も嫌悪している部分。
平気な顔して嘘を並べる”大人”になる事への恐怖。

僕はここに、あまりにも共感してしまった。

思ってない事言ってもしょうがないと僕も思うけどな。

マチ子

“空気を読む”ってやつなのかな?難しいことだよねぇ

どろどろ君

最後に

この作品。誰もが通ることになるであろう”大人”になるという事への違和感へ真っ向から立ち向かおうとする主人公の姿勢に目を覆いたくなる半面、理解できてしまう自分自身を見せられてもいるようで、なんだか身をつまされるような思いになる作品でした!笑

というわけで、今回も最後までお読みいただき、ありがとうございました!

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