Daisuke
今回はTVアニメ機動戦士ガンダム「水星の魔女」(8話まで)の感想(+考察)を書いていこうと思います。
“水星の魔女”感想・考察、過去の記事はこちら!
【感想・プチ考察】機動戦士ガンダム「水星の魔女」プロローグ
【感想・プチ考察】機動戦士ガンダム「水星の魔女」(4話までの感想)
ネタバレご注意!
念のため、最初から内容に触れていきますので、まだ未視聴の方はご注意ください!
8話までの感想(以降ネタバレご注意!)
ともかくグエル君のこれから非常に心配っていうのと、仲良くなろうとしていたエラン君(クローン)があっさり退場してしまったのがショックですね…
どろどろ君
しかも7話ではついにエアリアルがガンダムだって事をお母さんが認めちゃうし、ミオミオは株式会社ガンダムを設立しちゃうし。相変わらずハチャメチャな展開が行き着く暇もない感じがしますね。
マチ子
ファラクトの活躍をもう少し観たかった…
©創通・サンライズ・MBS
個人的にはファラクトが動いているシーンをもっと見たかったです。
ガンダムファラクト。結構かっこよくないですか?
好きだったんだけどなぁ…もう少し活躍するのかと思ってたらこんなにあっさり退場してしまうなんて…
もう少し観たかったなぁ。
マチ子
Daisuke
出てきてほしい!お願いします!サンライズさん!
しかしながら7,8話と人物主体の物語だったので、MSが戦ってるシーンを待ち望んでる方にとってはちょっと物足りなさを感じ始めてくる頃なんじゃないですかね。
次回9話もちょっと戦闘は機体薄そうですしね。笑
では、次は8話まで観たところでの考察に入っていこうと思います。
考察1 ”テンペスト”について
よく耳にするシェイクスピアの”テンペスト”がモチーフとなっているという点について
かの有名な英国の劇作家ウィリアム・シェイクスピア作の『テンペスト』。
その作中に出てくるプロスペローという人物が、スレッタの母”プロスペラ“のモデルなのではないいか。という考察を見かけました。
テンペストのあらすじはこうです。
ナポリ王アロンゾー、ミラノ大公アントーニオらを乗せた船が大嵐に遭い難破、一行は絶海の孤島に漂着する。
その島には12年前にアントーニオによって大公の地位を追われ追放された兄プロスペローとその娘ミランダが魔法と学問を研究して暮らしていた。船を襲った嵐はプロスペローが復讐のため手下の妖精エアリエルに命じて用いた魔法(歌)の力によるものだった。
フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
これらを踏まえ、水星の魔女はこの、”テンペスト“の作品になぞられる復讐劇なのではないか。という考察です。
こちらについては僕も調べる限りでは、プロスペラ、エアリアル、復讐の物語という点を踏まえて、踏襲されていると思うので異論はありませんでした。
ですが、合致するキーワードと、そうでないキーワードが点在する点、それから、復讐劇だけと考えるには水星の魔女のテーマにも沿っていないように思いました。
そこで僕は、水星の魔女は”テンペストと北欧神話の融合”なのではないか。と考えました。
テーマとは”逃げれば1つ。進めば2つ“。この実現こそが水星の魔女の作中では重要な部分だったはずですよね?
復讐劇だけでは解決しないように思えたのです。
考察2 北欧神話との関連性について
前回、考察記事では、”フォールクヴァング”が北欧神話由来だという話をしましたが、
北欧神話から情報を借りてくると、新たに様々なことが繋がってくることがわかりました。
前回記事「水星の魔女」(4話までの感想)
【感想・プチ考察】機動戦士ガンダム「水星の魔女」(4話までの感想)
まず”水星“について
本作で”マーキュリー”という名で呼ばれることが多い水星ですが、マーキュリー(Mercury)を調べたところ、語源がローマ、ギリシャ神話での呼び名”メルクリウス(Mercurius)”
となるようでした。
そこで疑問に感じたのですが、曜日って”日”がSun(太陽)、”月”がMoon(月)と惑星が続いているのに対し、”火”Tuesday …えっ?てなるじゃないですか。
なので調べたら、土日月がローマ神話、火水木金は北欧神話の神の名前から来ているということがわかりました。
で、水曜(Wednesday)ですが、この語源が北欧神話のオーディン(Odin)、Odin→Woden→Woden’s dayで、Wednesdayとなるそうです。
マーキュリー、メルクリウス、そしてオーディン。言語によって水星の呼び名が異なるのです。
水星の魔女では、北欧神話のキーワードも多く使われているということから、北欧神話で水星を意味する、オーディンについて調べてみました。
オーディンについて
隻眼、白髪、高身長、未来視、魔術に長ける、北欧古語で「激昂する者」を意味する。巨人の母を持つ。等々。
僕はこれらの情報を見ていくうちに、水星の魔女の作中で何となく特徴が近い登場人物がいる事に気が付いたのです。
それは、カルド・ナボ博士です。
プロローグに出てきていたカルド・ナボ博士って実は隻眼だったって気が付いてましたか?
よく見ると片目のハイライトがなく、義眼であることが伺えます。
©創通・サンライズ・MBS
それから未来についても示唆していましたよね。
作中ではGUND開発者の事を魔女と言っている点も気になります。
これらの事から、カルド・ナボ博士は水星、オーディンと関連する点が多くみられる人物である。ということがわかります。
それから、恐らくカルド博士は片目のほかに、頭部もガンド化しているようです。
もしカルド博士が常にデータベースと接続されており、脳の情報のバックアップを取っていたとして、
プロスペラがかぶっているヘッドギアに、カルド博士からの何らかの情報が共有されていたとすると、
プロスペラ一人でもエアリアルを完成させるということが可能になると思われます。
オーディンを調べている時、面白い情報をみつけました。
それは、ゲリとフレキという2匹の狼の存在です。
この2匹はオーディンが飼っている狼の名前で、スペルはゲリ(Geri/Gere)、フレキ(Freki/Freke)となります。
エアリアルとの決闘で敗北したグエル、そしてそのグエルの後輩のパイロット科生徒、フェルシ―。この二人、もしかするとこの狼のメタファーなのではないかと考えられます。
グエル(Guel)と、フェルシ―(Felsi)。発音が似ている事や狼っぽいキャラデザも偶然とは思えませんでした。
考察3 エアリアルについて
テンペストのプロスペローが操る妖精エアリアル。
そして北欧神話のエインヘリャル。
僕は、水星の魔女では双方の要素を組み合わせて構成されていると考えました。
テンペストのエアリアルは風を操る妖精です。テンペスト(嵐)を起こす妖精です。
一方、北欧神話のエインヘリャルは戦死した勇者の魂です。
まとめました。
- エアリアル(テンペスト)
シコラクスという魔女に木の中に幽閉されている所をプロスぺローに助け出される。 - エインヘリャル(北欧神話)
女神フレイヤ(ヴァナディース*)の宮殿フォールクヴァングに集められた戦場で死んだ戦士の魂。
*「ヴァン神族たちの女神」の意味のヴァナディースとも呼ばれています。
まず注目したいのは、テンペストのエアリアルは水星の魔女での出来事にあまり関連しないのに対し、
エインヘリャルはヴァナディース機関、フォールクヴァングに関連してきている点です。
エインヘリャルの死んだ戦士の魂という要素は、水星の魔女のガンビットにそれぞれ魂が宿っているという可能性とも少し繋がりそうです。
死者の魂を運ぶ者、ヴァルキリー
そして、エインヘリャルに加わる戦士の魂を選別する存在が”ヴァルキリー(ワルキューレ)“という女性です。
ワルキューレは神と人の間に生まれた半神で、”非常に長命“という特徴があります。
プロローグ時点での登場人物の多くが年を取っているのに対し、プロスペラ(エルノラ)が年老いていないのを見ると、
プロスペラがヴァルキリーのメタファーである可能性が考えられるのではないでしょうか。
※1古代北欧の文献では女神フレイヤはヴァルキリーとして現れるという記述があるようなので、リーダー、あるいはフレイヤ自身もヴァルキリーだった可能性も考えられます。
でもここで、ではスレッタやエアリアルの本体は何かという話になるかと思います。
ヴァルキリー。実は複数人います。特定の人数が定まっていませんが、数十人はいるようです。
仮に上記の長寿のワルキューレのオリジナルがプロスペラ(エルノラ)だったとして、エリクトやスレッタがエルノラのクローンだったとすると、
巷で噂されているエアリアル=エリクト説、スレッタ≠エリクト説も辻褄は合わせられます。
※2公式小説「ゆりかごの星」でのエアリアルの一人称は”僕”なので、エリクトでもスレッタでもない可能性もあり得ます。
ただし、ヴァルキリーは、”北欧神話において、戦場で生きる者と死ぬ者を定める女性“であるため、男性はいないはずです。(僕っ子の可能性は置いておきます。笑)
ですが、上記の(※1)女神フレイヤがヴァルキリーとして数えられる場合、フレイヤには、フレイという双子の兄がいます。
このフレイが、エアリアルの人格に関係している可能性はあるかもしれません。
ヴァルキリーが”魔女”がである
ウィキペディアのヴァルキリーのページに下記の記述がありました。
wælcyrieはヴァルキリー(ワルキューレ、ヴァルキュリャ)を意味します。
ウルフスタンによる『イングランド人への説教(Sermo Lupi ad Anglos)』にはwælcyrieの語があり、これは「魔女」を示す単語として使われていると考えられている。エジプト軍の上を飛ぶワタリガラスを「死者を選ぶ黒きもの(wonn wælceaseg)」と書いている箇所もある。
©フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
この文献の情報が少なく、現状まだ深く調べられていないため、詳細はまだ不明ですが、上記の記述を元にすると、
水星の魔女とは”水星のヴァルキリー“と解釈できるのではないでしょうか。
さらに、水星とはオーディンの別名である事も前述しました。
そちらを組み合わせると”オーディンが遣わしたヴァルキリー“という意味と考えることができます。
そのヴァルキリーがプロスペラ、つまりエルノラ・サマヤだという解釈ができるということになります。
しかし、まだまだ多数の疑問は残ります。
未だ残る様々な謎
カルド・ナボ博士の言っていた”人類の未来”とは。
仮にガンドフォーマットの健全性、パーメット流入でのデータストームの克服を指しているのであれば、
エアリアルの中にエルノラクローンが入っているのでは結局倫理的には解決していませんし、
プロローグでエルノラがコールバックを受けられなかった”レイヤー33″を、なぜ娘のエリクトが受けられたのか。
レイヤー33からのコールバックをエリクトの認証バイタルで受けていたと知った時のエルノラの表情が、嬉しそうに見えなかったのも疑問です。
パーメットリンク時、ほかのパイロットは顔が赤く光るのに対し、なぜエルノラは青かったか。
第5話「氷の瞳に映るのは」でエアリアルに搭乗したエラン君の顔がなぜ赤く光らなかったのか。”僕とは違う”のは何のことなのか。っていうか魔女って結局何なのか。
8話まで観はしましたが、結局まだまだわからないことだらけです。
最後に
僕として着目している点は史実上、魔女狩りで殺された”魔女”は、被害者だったって事。
それから当時、黒死病(ペスト)に対し、まだ概念として存在していなかった医学に近しい行為で唯一立ち向かおうとしていたのが魔女と呼ばれる存在であった事です。
また、現代における”魔女”とは、一般的に善良ではない存在として定着してしまっていますが、本来そのような邪悪な存在ではないのが正しい解釈であるということです。
“水星の魔女”魔女側と教会側、どちらの目線で物語が展開するかによって、180度結末が変わってくると思っていましたが、8話まで観た感想としては、”逃げれば1つ。進めば2つ”について、
今後プロスペラ自身の復讐心の克服という点でも、テーマは有効になってくるのではないかと思いました。
それをさらに大きく解釈すると、それは”スページアンとアーシアンの和解“、そして”人類が宇宙に適応できる未来”。の2つなのではないかと考えて観進めていこうと思います!
以上が、機動戦士ガンダム 水星の魔女を8話まで観た感想、考察でした!
というわけで、今回も最後までお読みいただき、ありがとうございました!
“サンライズ”の関連記事
【感想・考察】機動戦士ガンダム「水星の魔女」(13話までの感想)
【感想】劇場アニメ-機動戦士ガンダム 閃光のハサウェイ-
【感想】劇場アニメ-機動戦士ガンダム 逆襲のシャア-
【感想】劇場版三部作-機動戦士Ζガンダム-
【感想】劇場アニメ-機動戦士ガンダム ククルス・ドアンの島-